就労継続支援A型事業所で取り組むお弁当バッグづくり──利用者さんの手仕事が形になる“働く現場”

大阪・森ノ宮にある就労継続支援A型事業所 Mirrime zer0(ミライム ゼロ)では、今日もミシンの音とアイロンの蒸気が、作業室の空気をあたためている。ここでは、利用者さんが安定した環境で働きながら、縫製を中心としたものづくりに日々取り組んでいる。今回ご紹介する制作物は、お弁当バッグ(ランチトート)。作品に使われたのは、明るい黄緑の柄が映える布地。しっかりとした厚みと程よい柔らかさがあり、“毎日使える丈夫さ” を意識したつくりになっている。

「型紙から形が立ち上がっていく」ものづくりの始まり

作業はいつも、型紙に合わせて生地を裁断するところから始まる。まっすぐ切ること、必要な布幅を揃えること――

一見シンプルに見える工程にも、集中力と確認が欠かせない。写真に写る生地は、切り口がすでに美しく整っており、利用者さんが丁寧に作業を進めている様子が伝わってくる。

持ち手づくり──小さなパーツこそ、仕上がりを左右する

お弁当バッグを特徴づけるのが 持ち手(ハンドル)。生地をアイロンで折り、折り目をしっかりつける工程は、後の縫製の美しさに直結する大切なステップだ。折った布にステッチを入れると、持ち手の強度が上がり、手に馴染む安心感が生まれる。ミシンの上に置かれた持ち手を見ると、利用者さんが「厚みを揃える」「まっすぐ縫う」というポイントを一つひとつ意識しながら作業したことが伝わってくる。

バッグ本体を縫い合わせ、形が見えてくる瞬間

本体の外側と内側(裏地)をそれぞれ縫い合わせ、さらに外側と裏側を合わせて袋状に仕上げていく。この工程は、見た目以上に複雑だ。布同士を重ねる向き、縫いしろの幅、底の丸み。すべてが少しずつ仕上がりの美しさに影響する。画像にある明るい裏地がふわっと開く様子から、バッグの形が少しずつ立ち上がっていく過程を想像できる。

利用者さんは職員と確認しながら、「どちらの向きが表になるか」「縫いしろが偏っていないか」など丁寧にチェックを重ねていた。

仕上げのステッチ──作品が製品に変わる瞬間

持ち手と袋口にステッチを当てると、 バッグは一気に凛とした佇まいになる。このステッチは、デザイン性だけでなく強度にも直結する工程で、少しのブレでも印象が大きく変わるため、最も集中力が必要な瞬間でもある。最後の一針を縫い終えたとき、お弁当バッグはようやく完成品として姿を現す。添付された完成写真には、しっかりと自立するシルエット、鮮やかな柄のバランス、そして利用者さんの丁寧な仕事が映し出されている。

利用者さんの声
「持ち手の折り目をつけるのが意外と難しかったけれど、何度か作るうちにコツがつかめて、まっすぐ縫えるようになりました。完成したバッグを手にすると、“今日も作れた”って実感します。」

職員の声
「お弁当バッグは工程が多く、一つひとつの積み重ねが形になる作品です。利用者さんは、作るたびに縫い目の安定や持ち手の仕上がりが良くなっていき、成長が目に見えて分かる制作物でもあります。完成品を見ると、『ここまでできた』という自信にもつながっています。」

手仕事が働く実感へつながる場所

Mirrime zer0 では、巾着袋、スマホケース、トートバッグなど。さまざまなものづくりに取り組んでいる。共通するのは、“完成品が必ず目の前に残る仕事”であること。これは就労継続支援A型の中でも、利用者さんのモチベーション維持や技術習得にとても良い影響を与えている。お弁当バッグも、ただの作業ではなく、利用者さんの集中と工夫が積み重なった“成果”そのものだ。

見学のご案内

就労継続支援A型事業所での働き方に興味がある方へ。Mirrime zer0 では、見学を随時受け付けています。「大阪 就労継続支援A型 募集」「障害者 就職支援 A型見学」などのワードで検索される方にも、実際の作業を見ていただくことで、職場の雰囲気をより具体的に感じてもらえます。ものづくりの現場で働くことに興味がある方は、ぜひお問い合わせください。